教育支援員の備忘録

生徒主体の学校づくり

知的メタボ

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「今は吾は侘びそしにける気の緒を 念いし君を縦さく思えば(紀女郎)」

 

放置、放任、自立はそれぞれ全く異なる意味を持つが、では「自立した学び」とはどういう学び方なのでしようか。

教育支援員は「教師によって生徒が不利益を被らないための存在(教育局行政課の返答)」であるので、教諭たちからは「生徒には優しいが教師には厳しい」との反感を受けていたが、ある新任の物理科教諭は積極的に私の意見を聞きにきてくれた。

 

学年当初と今の生徒の様子の違い、授業への集中度、規律指導への対応など、その教諭の普段の振る舞いから判断するならば、「懇切公平で個人の都合には例外を設けず反省を促す熱心な人物」と言える。彼が違和感を感じていることを調べるために授業を覗いていたが、特に女子生徒の態度が気になったので授業後に話しかけてみると、

 

「かっこいいと思っていたけど、厳しいし授業が難しすぎる。」

 

物理を学ぶには関数解析微分方程式の理解が必要となる。指導案の生徒の実態が「二次方程式から学びなおす必要がある」とあれば、そもそも物理の授業を始めることができないということになり、担当教科と並行して数学の入り口まで教えなければならない。生徒たちには暗号文にしか見えない教科書の読み方を教えてくれる人物を「かっこいいいけど」で一括りにされては、こちらはベクトル空間の同時多項式を解けと言われているのと同じである。

 

変化のきっかけは単純なことだった。「時間が終わってたけど書き終わるまで待ってくれた。嫌なやつだと思っていたけど、ほんとはいい人だったんだね。」

呆れながらもその旨伝えに行くと、「ああ、あの時のことかな。」と思い当たる節がある様子で、二人で苦笑いする他ない。

 

優秀かつ人間的魅力のあるリーダーは地位や肩書きだけでは図れません。自分の能力を正当に評価してくれるだけでなく、伸ばしたりやりがいを与えてくれる人物であって、初めて一生懸命頑張ろうという気になれます。

 

新しい時代のリーダーは、時代の流れや価値観の変化を読み取りニーズを見抜き、他の模倣や追従に終わらず常に一歩先んずる先見性と創造性が必要です。第二に、自分が所属する職場の理念や方針を熟知し、自ら求めた仕事への使命感を自覚して正しい目標に挑戦すること。

 

この人についていけば必ず成功するとの信頼感を得るだけの指導を完成していくには、その時々に必要な情報や知恵を持たなければなりません。知恵なき者は、人の上に立って仕事を成功させられないと同時に、度胸(使命感)がなければ難局を乗り切ることはできません。

 

活力にあふれている組織をどのように作り出すか。単に忙しそうに動き回るのではなく、「話し合いは徹底し、決定したことは必ず実行する」「権限譲渡が行われており、組織の下層でも責任を持って仕事をする」といった構造づくりが大切です。その基盤となる人と仕事との関わり合いや、職場全体の風土に強い関心を払う必要があります。「相手は人間だ」という理解なしに人はついてきません。

 

これで物理が苦手だとか嫌いだとか、マイナスのイメージは払拭されたのだろうか。「それとこれとは別」という返答が返ってきそうなので追跡調査は行わなかったが、彼がもう一人の新任の化学科教諭と一緒に教材研究に熱心に取り組んでいる姿を見ているので、生徒たちには「数学Iと予習をしてくれ。それで君たちの偽物の困難さは解消される。」とだけ伝えたい。