教育支援員の備忘録

生徒主体の学校づくり

リーダーシップとマネジメント

教養訓練は、現場の実務能力不足に対する即効性、実効性の要望が聞かれるが、その反面で「メンバーを生かして使う」ということを軽視したところも見受けられるのではないだろうか。

研修員の割り当てがあった場合、いつも同じ顔ぶれが揃う。業務多忙の中にあって、リーダーがが仕事を独り占めして一人で忙しがっている。このような組織では、リーダーは仕事が生きがいなのだから自分達は手を出さないほうがいい。実務を知らないから取り扱うことができないので便利屋に押し付けよう。自分達が仕事をしやすいようにあれこれ注文をつける職場環境となる。その結果、「面倒だからいっそ一人でやってしまえ」ということになり、職場教養は疎かになり自己啓発の方向性も定まらなくなる悪循環に陥っているのではないだろうか。

 

マネジメントとは、人の心を知り、相手のやる気を引き出し、モノの見方や考え方を広げ、自主的に自己の能力を高めるように働きかけることである。大手の人材育成コンサルタント研修を見させてもらったが、どうにも現場の実際と噛み合っていない講義や課題を進めている。仕事のやり方や人間関係のあり方、報告・連絡・相談のやり方に至り、「評価できなくなるから指示したとおりにやれ」と言うが、それは単なる作業手順の確認であり、自分に代わり仕事を完成させていく能力を学ばせる職場教養ではない。企業としては、経営方針に従順な社員に仕上げて欲しいという腹なのだろうが、人材の最大有効活用のつもりが業務の単純化と意欲の低下の傾向を招いていることへの問題意識は無いのだろうか。

 

高齢者や身体にハンディキャップを持つ人の安全を守る自動運転システムや、24時間体制が必要な医療介護施設の体調管理システムにはIoTが必須である。しかし、人件費削減のみのコンサルティングに教養訓練など必要ない。それこそロボットでも導入すれば良い。労働基準法も関係なく働き続けてくれるのだから。

 

ここに、ある県立高校の教諭から受けた職員に対する苦情の一部がある。その方に負担が集中することは目に見えていたので、私が学校を去る前に教育委員会の通達を根拠に業務の簡略化を作っておいたのだが、それが人的要因によって機能しないという。戻ってきてくれと言われても私は教師の非違行為を揉み消すために存在を消され、口封じのつもりか恩着せがましく他校を紹介されたのだから、学校内で解決してくれとしか言いようがない。

 

〇〇先生から職場への苦情聞き取り

 

  • 別の先生に依頼されていることが、対応できず自分に回ってくる。
  • △△先生・△△先生のコンビで担当となっているが、〇〇先生に回ってくる。
  • 起案書を作成しないので、締め切り後でも担当者の都合で仕事が回ってくる
  • □□先生・□□先生は何もせず。

 

グループ長に計画性はない。全体計画などない。指示をしていないため事前に準備は行われていない。メンバーも自分から把握して動く事はない(まだやらないという指示であるから、やらないと返答)直前になってから担当外の者であっても仕事を割り振る。但し、本来の担当者が手を出される事を拒否、拒絶する為にトラブルとなっている。結果、前年度の資料がなくパニック状態となり、自分に尻拭いが回ってくる。行事終了後の段階に至り、後付で報告の為の資料を担当外の者が作る。グループ長のマネジメント能力の低さと計画性のなさ、メンバーの責任感のなさが問題である。

 

1 明朗である事

非常時に組織をしっかり管理しメンバーを掌握して統率力を発揮する為には、何事にも惑わされない目標管理が必要である。最悪に備え起きた時の覚悟と対策を考えておけば、予想程結果は悪くならない。平時からマニュアルに従って行動できる自己管理の習慣が、人間組織を合理的に動かす為の方法論である。

 

2 常に自我を保っている事

非常時には、行動する自我と自分の行動を客観的に見ている自我の「驚かざる心」を持っていなければならない。自ら決断を下していけるように実践的、現実的な事例研究を自作するという態度が必要である。

 

3 広い視野を持つ事

出来事の全体像を見る「鷹」の目を持っていなければならない。同時に、将来を見通す目も必要である。混乱した現場の雰囲気に流される事なく優先順位を的確に決め、A方向を選んだ時にはこんな事が見えてくる、B方向を選んだ時には別の結果が出てくるという見通しを考えられる事。

 

4 相手の立場で物事を考えられる事

私心のないリーダーは、他者に感情移入し親身にメンバーの心配をして面倒を見る。立場の弱い者の側に立って物事が考えられるリーダーにこそメンバーは付いて来る。

 

5 決断力がある事

リーダーの不決断は事態を一層悪化させる事を肝に銘じるべきである。平時のリーダーに求められる調整能力とはまるで違う、やる、やらないのどちらかを瞬時に選択する資質である。決断の為には的確な情報収集能力がなければならない。

 

6 行動力があること

俺がやらねば誰がやる」と率先躬行の精神を持ち、考えを実際の行動によって示す事が出来なければならない。どんな名案を考えていたとしても、誰かがそれを実行しない限り事態は変わらない。

 

7 情報感覚がある事

何時でも、最初に掛け付けた者が一番情報を持っている。相手の意見を最大限に尊重しながら求めればメンバーは動くものである。リーダーが行動を起こし組織方針を打ち出さなければ組織は活性化されない。

 

8 声が大きく簡潔であること

リーダーの指示は簡潔でなければならない。複雑条件、停止条件解除条件付の指示は必ず失敗する。説明でわからないところがあったとしても、99パーセントの者が「分かりました」と言う例が多い。特に新しく覚えようとする者に対しては、指示内容の印象が薄れるおそれがある。

 

 

※日本におけるマネジメント研修の導入は、1950年代に、アメリカ軍のM・T・Pを通産省(現経済産業省)が日本版として紹介し、その後は日本産業訓練協会の管理となり、現在の13次改訂に至るまで、「日本人の気質や会社風土、現場の実際に合わせて時代の思潮や変化を反映して練り上げられてきた人材育成プログラム」という講座が開かれている。

 多くのコンサルティング会社があるが、教育の抱える問題が金儲けの材料にすり替えられている限り、組織に属することへのアレルギー反応や楽して稼げる方法のみを追求する姿勢は改善されないだろう。寧ろ、働かされる側よりも、教える側に回れば楽に金を儲けられるとする風潮が濃くなっていると感じる。