教育支援員の備忘録

生徒主体の学校づくり

集団討議の方法

集団討議の前提となるものは、「人が構想し、形にする事」である。そこで成すべき事は、多様性(他者理解)の中で、集合知化された情報を理解できるように、論理(思考の形式や法則)を設計し、可能性を提案する事である。いくら本を読んだところで、そこで得た知識は自分なりの解釈という制約を設定してしまう。他者と関係性を生み出す、様々な人の意見を見聞きし本質を炙り出し、コミュニケーションの精度を上げる。換言すれば、共通のコンセプト(問い・課題)を発見し一体化する事で、自身の、或いは専門性といった領域の壁を壊し、新しい領域(新しい捉え方)が作り出される。「新結合」という経済学の理論(『理論経済学の本質と主要内容』ヨーゼフ・シュンペーター)がある。新たな価値と持続可能な活動の出来る、変化に強いビジネスを創造する「企業者」を育てようとするものである。

 

指導と対話

 

だが、人は十人十色、それぞれに個性がある。陽気な者と陰気な者。理詰めの者と相手を疑ってかかる者、それぞれのタイプによってコミュニケーションは左右される。

指導という角度から見れば、「良き指導者」に教わる時間は「楽しい」という一語に尽きるだろう。しかし、対話という角度から見れば、相手が聞く耳を持たなければその言葉は共感を呼ばず実践もされない。「親しんで狎れず」「敬して遠ざからず」両者に隠すところがなく、自らが考える態度を持つと同時に互いの意見を尊重し合う共同の精神を持つことで、そこで為される意思の疎通は円滑にいくものである。

 

社会機構や国際社会の急激な変化を契機とする改善や取り組みと捉えられた学校教育の方法論は、教育の効率性と合理性、均質で良質な人材を育成するシステムの追求となり、教育制度の画一化を招いた。組織の労力向上の方策にすぎない「管理論」と、組織が人を生かそうと積み重ねてきた努力から考案された「教養の技法」とを強引に結びつけた結果である。

 

現場の中心

 

限られたメンバーで諸対策を推進する為には、士気(モチベーション)という集団レベルを高めなければならない。

リーダーとなる者には動機付け能力が必要である。失敗しないことを重視する、前例踏襲で創意工夫に関心を示さないなど、メンバーのやる気をなくさせるような言動に注意すること。メンバーの意見に対し保留または発言しただけでは未決の課題がたまるだけである。皆で一緒に取り組んでいるという気持ちと行動が必要である。

 

人間的に信頼されていないリーダーは、メンバーを完全燃焼させることはできない。メンバーは「自分のことをどれだけ考えてくれているか」に敏感である。実績さえ上がればよいという気持ちだけで接する限り、メンバーは燃えない。仕事はそれぞれが能力を発揮しうまく組み合わされ結果を出すもの。優秀なメンバーの集まりは、却って自分のことしか考えないためいつか分裂するということもある。

 

交錯する範囲

 

  1. AとBとが似ていると知覚した場合には、置き換わるものはないのでAに変化は起こらない。
  2. Aが似ていないと知覚した場合でも、AとBとの効果が同等であればBはAに影響を与えない。
  3. この状態でAとBとを両立させようとすると、過剰採用・誤採用を引き起こすことや、既存のAが打ち消されてしまうか、AでもなくBでもないマイナスの結果を招くことになる。
  4. AはBという不確定なアイデアを評価するための尺度となるものであり、Bに意味を与えるものではない。
  5. AとBとが異なっている理由を知り、それぞれのアイデアから導き出した再現可能性を正確に測ることで、交錯する範囲=高付加価値が見えてくる。

 

知識が価値観として成立するには、何であるか、どのようにあるかを作り上げる真理(根拠に基づいて確実に知られた事項)が必要となる。価値観が曖昧であると何を信じて良いかわからなくなってしまう。リーダーは人に指示されてから動くのではなく、人を動かして仕事をするのだから、他人の判断を頼りにするのではなく自分の価値観をしっかり持つことが大切である。

 

だが、自分だけの狭い価値観に囚われると同じ行動が異なって見えることがある(積極と軽率)。自分の価値観だけで全てを判断するのではなく、自分とは異なる価値観を受け入れるという広い立場に立って判断しなければならない。自分の記憶を呼び戻して組み合わせるだけの発想では、始めより良い結果を期待することは難しい。やり方はいろいろあるが大事なことは結果。

 

①問題解決討議法(Lecture Forum)

ある問題について、その望ましい方向が既に模索され決まっている場合。これを達成するにはどうしたら良いか討議を通じ、望ましい方向に向けて指導を加えながら実現していこうとするリーダーシップ(メンバーに理解しやすい様にする工夫)を育てるもの。小集団を組んで討議させた後、代表者を出して上部討議に移したり、パネル討議→②に持ち込んで全体の結論を導く。

 

②パネル討議(Panel Discussion, Debate Forum)

模範討議を通じて、参加者全体に問題に対する思考を深めさせ、変革を図ろうとするフォロワーシップを育てるもの。知識・経験のある者を選んで参加者全員の前で自由討議→③を行わせ、ある程度問題点がはっきりしてから、参加者にも質問や意見を述べさせて討議に加えていく。リーダーは、単なる意見発表とならないように、正反対の議論が出るように事前に打ち合わせをしておく必要がある。

これに資料提供を行う専門家を加えるコロッキー・フォーラム(Colloquy Forum)の手法もある。

 

③自由討議法(Brainstorming, Mind Map)

リーダーと数名の参加者で行う。リーダーが討議の題目、やり方を説明した後に自由に発言し、結論を出していくものである。自由発言であるから、結論をまとめる必要のない問題に限る。自身の経験則に偏り、文殊の知恵よりも特色の潰し合いに陥る恐れがある。

 

④バズ・セッション(Buzz Session)

参加者を4ないし5名に分け、グループごとに討議を行わせる。問題解決討議法及び自由討議法の中に併せて、同一室内で賑やかに討議を行う発言雰囲気の相乗効果を狙う。「Twitter」がこれに該当するだろう。

 

⑤ワールド・カフェ(World Café)

リラックスした雰囲気の中で、メンバーの組み合わせを変えながら話し合いを続けることにより、参加者全員の議論を沸かせる。バズ・セッションに対し、100人以上の参加者や、多文化交流と自由にネットワークを築く事を目的とする。