教育支援員の備忘録

生徒主体の学校づくり

アドバイザーとは

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©︎さとう七味 インスタグラム@shichimi310 無断での転用はご遠慮ください

企業コンサルタント中小企業診断士を含む)とは、銀行から融資を受けられるように経営のアドバイスや提案をし、直接のパイプ役をする者である。当然、地方銀行経験者が多いが、経営方針という組織管理の方策としてのOJT研修やリーダー教育を請け負うコンサルタントが増えている理由でもある。

個人事業主に対するコンサルタントはどうか。登記関係や青色申告行政書士と税理士の出番となる。組織を管理する総合性発揮能力は求められない。

人間関係能力が求められるコンサルティングとは、吉本興業所属の入江氏のように人脈を介して営業活動に繋げることを目的とするものである。要は取引先の紹介に特化しとものとして、銀行が企業や権限を有する人物に置き換わっただけである。

コンサルタントに必要な能力とは、不平不満もなく強制もない説得ができ、あらゆる職業に必要な原則を理解していることである。

 

より専門的な実務能力が要求されるアドバイザーとは何か。

専門的であるがゆえにセクト主義の傾向が強い。余分な仕事には進んで取り組もうとしないだろうし、相手が間違っているかもしれないと考えるとき、自分が間違っているとは決して思わないものである。問題解決にはカウンセリングの手法を用いて相手の考えや行動、性格に対する鍵まで握らなければならない。

 

ここで、コンサルタントとアドバイザーの違いという前提を理解していただいたとする。その上でアドバイザーについて考察を進める。

 

 

組織と人事考課

 

西欧では、個人としては立派だが集団化するとそれを消し合ってしまい、組織作りをしてもうまく機能しないという傾向がある。アメリカのピューリタニズムでは、傷口を舐め合う仲間とは新興宗教でしかない。ところが、日本の文化には、自分の弱点を共有し相手の欠点を認めて許しあい、お互いそれを伸ばしていこうとする「仲間」の人間関係があった。競争、結果重視が横行しても、人間的弱さというものを救い合ってきたのである。

 

しかし、日本は外部からの侵略や競争を考えなくて良い平和な島国であった。満州事変が起こる前、平和な条件下の軍隊では、能力を数字化し評価基準を設けて個人の功を示すことは難しい。そこで出てきたのが学校制度の成績評価であった。戦後の高度成長時代では、誰が社長でもコンスタントに利益を得られる条件下でピラミッド型の組織を維持するには、功績評価ではなく失点評価の「淘汰」であった。その結果、人の足を上手に引っ張る者や、大過はないが何もしない者が出世するというような年功序列の人事考課が社会を包み込んでしまった。

 

間違いのなく弱点もない完璧な者は存在しない。試行錯誤もなく「自分は過っていない」と言い張る者は、実は何もしない、させないので失敗がないのか、責任を転嫁したり過失を塗りつぶすのが上手いだけであって、自己反省とは無縁の人種にすぎない。換言すれば、畑を荒らす害獣は全て殺してしまう、田んぼの水を独占する、仕事に関係がないと行事に参加しない、家族には仕事への献身のみを要求する、社会性の欠けた視野の狭いエゴイストである。そういう者と付き合っていては、自身の破滅を招くだけである。

 

他方で、自分は立身出世主義に興味はないと言いふらすことで何かを獲得しようと狙っていたり、その主張で野心を遂げようとする連中が多くいる。プラスの側面には必ずマイナスの側面がある。収入が増えれば苦労も増えるというように、経済活動に関しては矛盾した目的の中の一つを求めている。ここに生活の質の向上や将来の生活資金のためという副業の推奨や株式投資による資産運用など、マスメディアが無責任に流す情報が思考としてビルド・インされ、この矛盾を自分に都合の良いように誇張して、個人の主張、行動、権利といった何らかの形で正当化されたまことに結構な意見が溢れている仕方のない現状がある。

 

 

参謀の条件

 

一人一人は組織の中の歯車であっても、歯車は全部繋がって仕組みを構成している。歯車のうち一つでも壊れれば全体が機能しなくなり支障をきたすことになる。

しかし、歯車が揃っていたとしても、潔癖症の如くバックラッシュまでガッチリと整合してしまえば、回転方向を変えることや他と組み合わせることは困難となる。

 

日常の生活や仕事は同じことの繰り返しではない。必ず変化が生じるものであるし、不測の事態が起こる場合もある。新しい仕事やマニュアルにない問題が次々と出てくるから、自分の持っている能力をどう応用し発展させていくか、情報をどう組み合わせて新しい考えを導き出し解決を図っていくかが必要となる。

だが、個々の歯車に独立した運動、イニシアチブの裁量を与えるだけでは、そこで狂いが生じて流れが止まってしまうおそれがある。

 

歯車を統括する指揮官がその能力を十分に発揮し任務を全うするためには、有能な参謀の補佐が不可欠である。

組織のプランメーカーである参謀は指揮権を持たない。指揮官の指揮に関する責任遂行を補佐するために活動するのであって、あらゆる場合の指揮官の物の見方、考え方等を十分に把握、理解し、指揮官の立場になって企画、立案すべきである。指揮官と参謀は一体となってはじめてその組織の力が発揮されるのである。

 

「参謀の条件(渡部昇一 プレジデント社)」に、参謀としての資質が数々あげられている。参謀とはトップの補佐機関であり、裏方に徹して前面に出ることなく目的達成を容易にする存在である。

 

参謀の特質(資質)は、「企画力の優秀性」(有能なプランナー)であるが、謀に参与する場合は指揮官の考えを冷静に批判できる能力も必要であり、明らかに誤りがあれば指摘するのも参謀としての責任である。指揮官が情に流される場面があっても参謀は常に客観的に理性に徹し、その計算は絶対に誤りがあってはならない。

参謀たる者は、常に指揮官の視点に立って考えプランニングをし、従来の方式に反省、検討を加え、活動を改善し有効な手段を考えなければならない。資料や情報等を集めてくるだけで「判断」を仰ぐようなことは単なる責任回避である。

 

参謀が組織として機能(幕僚組織)するのは、明治以降の陸・海軍が編成されてからのことである。日本の戦国時代の名だたる武将には「軍師」といわれる策士がいた。軍師は戦場で軍配を振り直接指示をすることもある。当時は占いによって出陣を決めたり、武将個人の力が大きく影響する時代であるから、幕僚が出現する余地がなかったのだろう。

 

源頼朝が鎌倉に幕府を開いて以降、武家政治が戦国時代を経て明治に至るまで続いてきたのであるが、幕僚組織が機能しない幕府は滅亡している。秀吉は天下統一して戦国時代に終止符をうったが、独裁が続いた。そのため、石田三成は秀吉の暴走(朝鮮出兵)を止められず、結局自滅を招いた。長期政権である徳川幕府は、愚鈍な将軍の時代があっても幕僚組織によって支えられてきた。

 

辻 正信(陸軍参謀)

陸軍において「作戦の神様」として終戦まで主要な作戦に参謀として参加していたが、参謀としての能力には不適格との酷評がある。山下中将(比島戦の軍事司令官)は、「幕僚は指揮官の知恵袋であるが、脇役に徹しなければならない。辻はこの参謀道を踏み外している」と批判している。

 

宇垣 纏(海軍参謀)

太平洋戦争開戦時の連合艦隊参謀長として山本司令長官の補佐役を務め、その後指揮官として終戦を迎え、沖縄に最後の特攻出撃をして戦死した。

宇垣中将は、参謀長は司令長官の分身として作戦を計画し、指導することに留意し、次に自分が現場指揮官であったらどうするか、という立場に立って考える方針で対処した。

 

ハンス・シュバイテル(ドイツ陸軍参謀)

第二次大戦で名将といわれた独軍ロンメル元帥の参謀長として名をはせた人物である。

「参謀と参謀長とは違う。参謀の間違いは参謀長にチェックしてもらえるが、参謀長にはそれがない。参謀の失策はそのまま指揮官の過ちとなり、全部隊に影響する。」

 

要するに、幕僚の活動は組織の活動を左右するものであり、組織の基幹ともいえる。幕僚をアドバイザー、組織を個人に置き換えても同じことである。

 

 

 

関心のありかを見抜く

 

ここで、アドバイザーの役割について振り返る。自分は能力と運に恵まれているが、人格が立派だから富を軽蔑しているというポーズで上手く世渡りをしている者を見破れず、自分自身もその仲間だと思い込まないでいただきたい。まず、そういう人間が本物かどうかを見極めなければならない。

 

相手に善意を錯覚させて言いなりにするには、「あなたの考えはもっともです。私があなただったら、同じように思うでしょう。」と伝えれば良い。相手の立場になれば当然相手と同じ考えを持っているのだから、この言葉に誠意を感じてしまうだろう。相手が飢えているものを見抜いてチラつかせるのが詐欺師のテクニックである。

 

田中角栄氏は土地転がしをやって巨利を得たが、いまだに直接の受益者以外にも信奉者がいる。それは、金と権力欲にまみれた人間であったから富を得たわけではないことを示している。

富を軽視する者ほど本心は金持ちになりたいという欲望にとりつかれている。自分を正当化する歪んだ心に気づけなければ、知らずのうちに詐欺や横領といった犯罪行為に利用されたり巻き込まれてしまうものだ。

修身の見本のような偽善者、エゴイスト、モノマニアを信奉すると、当人は立派なつもりではた迷惑なだけの人間になるといえよう。

 

以降、アドバイザーとしての態度を列挙する。相手が本物か偽物かは、自分のパーソナリティが反映されているか否かで気づくことができるはずである。

 

  • 肩書きで仕事をしない
  • 年配者を「君」付けで呼ばない
  • 便利な機能だけを使わない
  • 理屈でねじ伏せない
  • 交換条件で仕事をさせない
  • 指示が伝わっているか確認する
  • 仕事の結果を必ず確認する
  • 働きやすいように膳立てをする
  • 相手を見て教える
  • 必ず念を押す
  • 質問されても逃げない
  • 仕事をもっと簡単にできないかを考える
  • 仕事は自分でもマスターしておく